12月になると、商店街の空き店舗前などに、紅白の派手なふちどりをした抽選くじの窓口がぽっかりあらわれる。『大倉敷歳の市』という倉敷・児島・玉島・水島の商店街恒例の年末大売り出しで、期間中に買い物をすると、その窓口でくじがひけるのだ。
手作り感満載のレトロな窓口には、毎年同じおばあさんが日がな一日座っていたものだったが、最近はいろんな人が交代でやりくりしている。ほとんどは商店街でお店を開いている人やその家族で、どうやらここも人手不足らしいと聞く。
いつも「ハズレなんだよな」と思いつつ、くじ1回分の補助券10枚を差し出す。紙くじのいっぱい入った箱に手をつっこめば、むくむく当てたい欲が湧いてくるから不思議だ。
指先で慎重に選び取る。
三角形のくじをハサミで切ってもらうほんの少しの間、窓口を白く照らすデスクライトや、足元に置かれたストーブがふいに目に入る。当たり前にくり返されると思い込んでいるこの歳末の風景だが、今詠んで残しておかなければと、ハズレでももらえる菓子を渡されながら思ったことだった。
歳の市にくじ引き会場あらはれてシャッター街に灯りがともる
書いた人・やすはら りの
ブログ「たましま日和」
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