味の濃い写真

ワイルドストロベリー

写真を撮るのが好きだ。
でも私の場合、あまり難しいことはできない。
目の前にあるものを切り取るように
シャッターを押す。
「パシャ」と乾いた音がして
カメラの小さな画面に切り取った結果が表れる。
その時にただのありふれた場面が、カメラの力で一層美しく見えたりすると
急に写真がうまくなった気がして、わくわくしてくるのだ。
デジタルのカメラは、誰にでもそこそこの写真を撮らせてくれるようにできている。
誰にでも。

ギボウシ

最近、家に帰って撮った写真をパソコンで見た時に、
がっかりすることがしばしばある。
撮った直後はうまく撮れたと納得したはずなのに
なぜかわくわくしない写真ばかりなのだ。
子どもの頃、ちょうちょをうまく捕まえた・・・と思ったのに
虫取り網の中にはなにも捕れておらず、がっかりした・・・あの感じである。
思うに、原因はインスタかもしれない。
デジタルカメラは誰でも「美味しい」写真を撮らせてくれるが、
さらに「加工」という味付けをすることで、自分の好みを際立させることができる。
インスタには加工された写真があふれているので、それを日常的に見ていると
濃い味でなければ食べた気がしなくなったのかもしれない。
加工も含めて自分の表現なのだとしたら、それはありだと思うけれど
まだなんとなく、すんなり飲み込む気になれず
時々インスタから離れて
アナログ時代の古いモノクロ写真集を広げてみる。