静かな夜に

満月の夜

どちらかといえば宵っ張りのほうである。
日付が変わっても、煌々と灯りをつけて起きているのが当たり前だったけれど
無駄に使うエネルギーは環境にも家計にもよろしくないので
早めに布団に入ることにした。
夜になると、うちの周りは切り取られたように音が消える。
オオヨシキリや鳴く虫たちが元気なうちは、透明な夜がそこに存在しているのだと感じるが、
風のない冬の夜は、灯りと音の出るものを消してしまうと
小さな箱に入った気分になる。
ずいぶん長くオブジェと化していた枕元の灯りをつけて、読みかけの本を開いてみた。
昼間はなかなか本が読めないので、出先に持っていっては何かの待ち時間に少しずつ読み進めるのが
私の読書法だったが、温かい布団とほんわりとした低い灯りは、心地いい読む時間を作り出してくれた。
心地よすぎて、すぐに眠りの世界に引き込まれるのはもったいないところではあるけれど。