八十八夜が過ぎた。立春からゆびおり数えて、いよいよ種まきの時期になる。
かたく乾いた種を水に浸けるとぬるんだ春の水をゆっくり吸い込んでいく。
種の中のでん粉が分解される。糖がエネルギーになる。新しい細胞が生まれる。呼吸する!
種はその中にこれから形作られるすべてを持っている。葉も、茎も、根も、花も、実も、ぜんぶ持っている。
殻がやぶれた時には、白くか細い根を引きずって、芽の姿でそこにある。
種は空っぽになって、殻の形さえ、もう見えない。黒い土と青い空のあいだで、葉が茂り、茎が伸びて、花が咲く。
太陽のひかりで葉が光合成する。糖が生成される。でん粉が蓄積される。全力を尽くして実る!
そしてすべてをたずさえて、また種になる。
文・やすはら りの
コロンとした形は、たまごか木の実のよう。てっぺんの細く開いた割れ目に、さし込むように花をいれて一輪挿しに。そのまま置いて、オブジェに。光沢はなく、ざらっとしています。作:芝 眞路
高さ:約9cm4400円